セイコー31エレクトロニクス(31A)オーバーホール(不動)

セイコーの電池式テンプ調速型腕時計には以下の4種があります。

セイコーで初めての31ELが不動になり、オーバーホール依頼がありました。

この時計はメーカー保証品ということで、技術解説書や部品情報はなかなか、お目にかかれません。2,3,4番目の時計の技術解説書などを参考にしています。


  1.31エレクトニクス 31EL 1968年 諏訪精工舎

  2.37エレクトロニクス EL-370 1970年 諏訪精工舎

  3.33バッテリーウオッチ EL-330 1972年 第二精工舎 亀戸

  4.07エルニクス ELNIX 1973年 第二精工舎 亀戸 


故障部位:ダイオード両端のリード線が2本とも断線

写真は31ELの回路ブロック全体写真です。脱落したダイオードを元の位置にのせて、切れたリードをずらした状態です。目視中はリードがダイオード両端にありましたので、断線には気づきませんでした。

ダイオードが転げでてくれて気づきました。このダイオード自体は固定されておらず。細いリードに支えられています。細いリードがダイオードの太いリードの端で切れていました。

修理:銀入り接着剤で接続でOK

コイル近くでの半田付けは難しいので、電気機器の回路修正などに使用されている銀配合 コンダクティブ リキッドという接着ペーストで接続。分解掃除後に組み立てたところ無事に動作しました。ただ、このダイオードは鉄心入りコイルの大きな逆起電力を逃がす目的のものです。今回のダイオード両端のリード断線が不動の原因ではなかった可能性があります。

分解掃除1 裏押えネジが逆ネジ

裏押えのネジが逆ネジでした。EL-370は普通のネジです。なぜ、31ELが逆ネジなのかはわかりません。うっかりしますとネジをネジ切りますので要注意です。

分解掃除2 アンクルの駆動用磁石

アンクルに駆動用の大きな永久磁石が組み付いています。この磁石と2個の駆動用コイルの電磁石と磁極の引きあい、反発で動くようになっています。

分解掃除3 テンプ受に31Aの刻印あり

テンプ受けに31Aと書かれています。カレンダーなしの31ELには31Aと31Bの二種類があります。

31Aは秒針規正なしで、31Bは規正ありです。

分解掃除4 輪列構成

輪列受けを外した様子です。

ガンギのツメ車や逆転防止レバーなど

がみられます。この機構はEL-370に

引き継がれていますが、逆転防止レバーの調整はEL-370の方がやりやすいです。

分解掃除5 秒針規制の有無 31A、31B比較

秒針規制レバーがテン輪を押さえて規正しています。


不動の原因は良くわかりませんでしたが、分解掃除よって解消されたような気がします。


<修理後の性能> 

日差+5秒ぐらいに緩急針調整しました。姿勢差も少なく、安定性の高い性能がでました。


<修理完了日> 2014-11-5

 

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