オーバーホールされてなく穴石、軸受に油の固着、中心カナ回りに多量の油+サビの摩耗粉が見られました。分解、洗浄を丁寧に実施、注油したが、OH後の性能確認で持続時間が短いことを確認しました。
まず、香箱のフタを開けてゼンマイのへたりがないか確認しましたが、へたりはありません。10振動なので高振動用の厚いゼンマイが10巻きされています。セイコーの技術資料では45キングのゼンマイはダイヤフレックスであり、かつセルフグリーシング処理が施されていて、注油不要と記載されています。
左:ゼンマイが今回のオーバーホール品
右:比較用ゼンマイ
セイコー技術資料の抜粋です。セルフグリーシング処理をしてあるのでゼンマイへの注油は不要と書かれています。
1ミクロンの特殊被膜が施され注油は必要なきことが記載されています。
部品名 ゼンマイのところに(セルフグリーシング)と記載あり
(画像を拡大すればなんとか読めます)
SEIKO S-2(Mainspring Grease)を注油し、四つ割りでゼンマイになじませた後、持続時間確認のランニングを実施した。
この時計の場合、s-2注油の効果は絶大でした。歩度調整も変更せず、注油だけで赤曲線が青曲線になりました。持続時間の大幅アップです。また、歩度調整(+10秒ぐらい)でしたが、ねらい通りの誤差曲線となりました。時計の心臓が生き返ったような感じです。お客様にも喜んでいただけました。
今後のOHでデータを蓄積してゆくつもりです。
<修理完了日> 2014-9-4