セイコーCal.6309A(63ファイナルモデル)時々止まる

<故障状況>

この時計を着用しているときは動いているが机に置いておくと1時間ぐらいで止まるというお話でした。

<修理結果>

ランニングでよく止まる状況は再現。一時間ぐらいで止まるとか、6時間ぐらい動いて止まるということもありました。

風防、3針(時、分、秒)、文字板を外して機械を取り出しても止まり事象は継続。次にカレンダー機構をとりはずしても止まりは継続、したがって、曜車を送る時のトルク増大の負荷に負けて止まる要因も関係がないということです。さらに自動巻き機構を外しても止まる事象は継続。また、運針している時テンプの振りは良好であること、初期観察では原因を特定できませんでした。

<修理結果>

四番車のアガキが大きく、三番車と四番車の歯車隙間が狭いようである。また、回転時の四番歯車の縦ぶれがわずかにある。このあたりに原因があると判断し以下の処置をとりました。

他の時計で採用されている四番座(外形1ミリ位、厚さ0.1ミリの平ワッシャ)を入手し組み込んだ結果、歯車隙間は拡がったが四番車と一番受に摩擦が生じたため動かない。ワッシャを砥石で0.05ミリに薄くしたところ、回転するようになったがまだわずかに摩擦がのこっている感じである。そこで、一番受の四番車の穴石(穴金)をほんの少しタガネで外側に押し出したところ、回転は良くなり、以後、今回の止まり故障は再現しなくなった。

このことから、三番車と四番車の歯車隙間が狭いことおよび四番の縦アガキの不良が原因であったと結論付けました。

 

<修理完了>2012-3-14

SEIKO6309A
四番車あがき