一応、動くが身に着けると数分で止まってしまうということで修理/OHの依頼があった。止まる事象は再現し、電池を確認するといLR1130が使用されていました。
この時計のオリジナル電池の寸法は径=11.4mm、高さ=3.3mmです。
使用されていた電池の高さは3.0mmで時計が動いた時に接触不良になって止まっていました。代替電池のSR1136SWに交換した結果、止まりは解決しました。
プラスの押えにはバネ性はなく、マイナスバネの弾力でのみ電池と接触していますので高さ寸法が設計より少ないと接触不良になりやすいです。酸化銀電池ではSR1136SWが寸法的に適しています。
原因が判明しましたので、分解掃除しました。写真のように部品点数は少ない時計です。整備後の性能は6姿勢とも±15秒以内でまずまずでした。また、整備後は消費電流は整備前15μAが整備後が10μAと改善され、仕様は7~8μAに近づきました。
電池寿命は電池容量÷消費電流で求められます。
寿命=(100×1000μAh)÷10μA÷24時間÷30日=13.8ヶ月となりました。
仕様では電池寿命は1年以上となっており、同等の寿命が得られました。
電池は344(SR1136SW)を推奨します。もしも時計店にない場合は楽天や
Amazonからでも購入できます。
筒カナ付き分車の摩擦力が低下しているためであるが、ランニングでその他に問題なければこのままで完了したい(理由:交換部品なし)とお伝えし、ランニングを行いました。
3日間OKで4日目の朝、約3時間遅れで動いていました。典型的な針置きの状態です。23時45分ぐらいから日車を送る準備が始まり輪列のトルクが大きくなります。分車と筒カナの摩擦力が低下していると日付更新時の輪列トルクでスリップし、その結果、秒針は回るが分針、時針は回らない状態となり、針置きが発生します。
針置きが発生すると時計として機能しませんので、手持ちの時計から部品取りして交換し解決しました。
摩擦力の低下した筒カナ付き分車の検査をしました。写真のような状態で分車を指で回してみます。ほど良い重みで(摩擦力)回れば良いのですが、今回の部品はスルスル回りました。